星空日誌「つぶやき」

ポンス・ブルックス彗星(12P)

しばらく不安定な天候が続き、ヤキモキしていましたが、3月10日の夜、ようやくポンス・ブルックス彗星(12P)の観望・撮影に出かけることができました。



ポンス・ブルックス彗星(12P /Pons-Brooks)は、約70年で太陽を一周する周期彗星です。2024年4月20日に近日点(太陽に最も近づく時)を迎えるので、これから4月上旬にかけてが一番の見頃と考えられています(近日点を過ぎると北半球から見えなくなるため)。



彗星が見える方角は西北西で、薄明が終わった直後が見頃です。薄明終了時の高度は10度から15度程と低く、西方向が開けている場所に観測に出かけなければなりません。

幸い10日の夜は15度ほどの高さがあったため、いつも訪れる八塔寺に出かけました。現地で、前日に下見をされていた星仲間に見える方角を教えてもらい、安心して機材を設置できました。



幸いにも天候は良く、撮影だけでなく、双眼鏡や大口径ドブソニアンでもポンス・ブルックス彗星(12P)を観察することができました。彗星の核が明るいのが印象的で、短い尾が伸びている様子も確認できました。

しばらくの間は月明かりのある夜が続きますが、3月下旬になれば暗夜で彗星を観察・撮影できます。高度は低くなりますが、是非チャレンジされてみてはいかがでしょうか。

Seestarで楽しむ春の銀河

Seestar 天体写真ギャラリーに、先日、八塔寺で撮影した春の銀河の写真を追加しました。



上は、Seestarで1時間スタックした、おおぐま座のM81銀河の写真です。M81銀河は比較的明るいので、腕の部分まではっきりと写りました。



次の画像は、りょうけん座のM106銀河の写真です。M106銀河は、バルジ部分は明るいですが、その周囲に広がる腕の部分は淡く、望遠鏡でも写し出しにくい系外銀河です。実際、Seestarで数分スタックした時点では腕の部分は全く写らず、無理かと思いましたが、4時間スタックすると、淡い部分までしっかり写りました。



3枚目は、回転花火銀河の愛称で知られる、おおぐま座のM101銀河です。M101銀河は全体的に淡く、肉眼で見るとボヤっとした雲のようにしか見えませんが、Seestarで2時間スタックすると、渦を巻く銀河の腕が写りました。

春の銀河の撮影は、以前は、長焦点望遠鏡に冷却CMOSカメラと本格的な機材が必要でしたが、Seestarを使えば手軽に撮影できるのがいいですね。次回は、マイナーなNGC天体もSeestarで撮影してみたいと思います。

なお、Seestarは、ファームウェアップデートで1枚当たりの露光時間を延ばせるようになりましたが、今回は全て10秒露光で統一し、スタック後の画像をステライメージ9で画像処理しています。

AM3赤道儀とAM5赤道儀の比較

ZWO社のAM3赤道儀をお借りしたので、所有しているAM5赤道儀と並べてみました。



AM5と比べると、AM3は一回り小さい感じですね。AM5もビクセンSXP赤道儀と比べると二回りほど小さく、決して大きな赤道儀ではないのですが、AM3と比べると大きく感じます。



赤道儀が小さくなっている分、望遠鏡を固定するアリガタ金具の幅も狭くなっています。三脚を固定する金具は共通ですね。

搭載可能重量は、AM3赤道儀は、8kg(ウェイト未使用時)、13kg(使用時)です。一方、AM5赤道儀は13kg(ウェイト未使用時)、20kg(使用時)です。口径8センチ程度までの撮影鏡筒なら、AM3で十分いけそうですね。



赤道儀の重さも測ってみました。金具やPoleMasterアダプターを付けた状態ですが、AM5赤道儀は実測で5.9キロ。AM3赤道儀は4.15キロでした。差は1.75キロ。ビクセンのバランスウェイトWT 1.9kg弱の差がありますね。持った感じでもAM3の方が軽いと感じました。



参考までに、海外遠征によく持っていくビクセンAP赤道儀(両軸モーター仕様・三脚アダプター付)の重さを測ってみると、4.6キロでした。AM3はAP赤道儀よりも軽いのですね。荷物の重さ制限が厳しい海外遠征用にも良さそうです。

ヘラクレス赤道儀をOnStep化

しばらく体調を崩していたため、更新できませんでした。新型コロナに初感染したのですが、思っていた以上に症状がひどく、若い方のような軽症では済みませんでした。まだ咳や倦怠感が残っていて辛いです。皆様もどうぞお気を付けください。

動けるようになって、ヘラクレス赤道儀のモーターの換装作業を始めました。



ヘラクレス赤道儀は、ビクセンのスカイセンサー2000PCで動く大型赤道儀です。搭載重量に余裕があり、追尾精度も良いので愛用しているのですが、スカイセンサー2000PCを使っていた頃は、DCモーターのトルクが弱いのが難点でした。

そこで、モーターをステッピングモーターに取り換え、ASTRO-ELECTRONIC社のFS2モータードライブで動かしていました(撮影機材のヘラクレス赤道儀のページに詳細を載せています)。

FS2モータードライブに変更後はトルクも増し、ガイド時の反応も良く、動作に問題はなかったのですが、ASIAIRとの相性が悪く、Wifiでの撮影がうまくできませんでした。そこでOnStep化を考えていたところ、星仲間からアドバイスをいただき、昨年秋から改造に取り組んでいました。



上の画像は、OnStep換装後のヘラクレス赤道儀の赤緯軸の写真です。OnStep化のため、モーターを新調し、動力伝達方法もギアからベルトドライブに変更しました。モーターを固定するブラケットは、けーたろさんに作っていただきました。



上の画像は、スカイセンサー2000PCとFS2時代の伝達方式で、3つのギアで動力をウォームギアに伝達していました。使用している時は、特に反応が悪いとは思いませんでしたが、ベルトドライブに変更したところ、オートガイドの反応が更に良くなったように思います。ベルトドライブの人気が高いのに納得しました。

OnStep化については、後日、詳細をまとめ、ウェブサイトにも載せたいと思います。

謹賀新年

2024年も早5日になりましたが、新年あけましておめでとうございます。

元旦は能登半島地震、2日は航空機の炎上事故と、2024年は心痛む始まりになってしまいましたが、今年も一年、星空と天体撮影を楽しんでいきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。



今年最初の画像は、昨夜、自宅から撮影したオリオン大星雲の写真です。Mewlon-250CRSとHαナローバンドフィルターを使って撮影したモノクロ画像です。

次回はOIII画像を撮影して、HOOカラー合成して仕上げたいと考えています。

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