星空日誌「つぶやき」

天文機材の価格推移

増税前の駆け込みでしょうか、牛乳やその他の飲料、カップ麺など幅広い食品の値上げが相次いでいますが、望遠鏡や天文機材も、一昔前に比べてかなり価格が上がったなと感じます。



そこで、昔からある現行天文機材について、以前の価格と現在の価格を比べて、どのくらい値上がりしたのか調べてみました。

1.タカハシε-180ED
言わずと知れた、高橋製作所の天体撮影専用の望遠鏡です。星像はシャープですが、光軸調整や取り扱いがシビアで手間がかかる鏡筒です。

発売開始された2005年は、380,000円(税別)でした。2019年現在は、448,000円(税別)です。14年間で約18%の値上がりです。

2.タカハシ FSQ-106ED
イプシロンシリーズと人気を二分する、高性能の屈折望遠鏡です。これ一本あれば、眼視から撮影まで楽しめるので、今も人気の高い鏡筒です。

発売開始された2007年は、438,000円(税別)でした。2019年現在の価格は、523,000円(税別)です。12年間で約20%の値上がりです。

3.ビクセン SD103S
ビクセンの口径10センチの屈折望遠鏡です。発売開始当時は、ビクセンED103Sという名称でしたが、接眼部がマイナーチェンジされて、SD103Sに変わりました。

発売開始された2005年は、195,000円(税別)でした。2019年現在の価格は、200,000円(税別)です。14年間で約2.5%の値上がりです。

4.笠井トレーディング Ninja-400
バックヤードプロダクツ社が製造している大型ドブソニアン。パーツを分解できるので運搬しやすく、光軸再現性も高いので評判が良い望遠鏡です。

2007年当時の価格は、571,000円(税別)でした。2019年現在の価格は、700,000円(税別)です。12年間で約23%の価格上昇です。

5.ニコン7×50SP
星空観望のスタンダードモデルとして、昔から定評のある双眼鏡です。見掛け視界はやや狭いですが、シャープな星像が見ていて気持ちのいい一台です。

2004年当時の価格は、81,000円(税別)でした。2019年現在の価格は、95,000円(税別)です。15年間で約17%の価格上昇です。

6.キヤノン10×42 L IS WP
贅沢な光学系が採用されて、星空観望に最適とも言われている防振双眼鏡です。キヤノンの防振効果は素晴らしく、手持ちで観望を楽しむならこのシリーズがお勧めです。

発売開始された2005年の価格は、180,000円(税別)でした。そして2019年現在の価格も180,000円(税別)です。

7.星空シミュレーションソフト ステラナビゲーター
利用者の多い、アストロアーツ社の星空シミュレーションソフトです。この3月下旬に最新バージョン11が発売開始となります。

2004年のステライメージ7は15,000円(税別)でしたが、2019年発売のステラナビゲーター11の価格も15,000円(税別)です。

以上、一部の天文機材の価格を比較してみましたが、ビクセンの屈折望遠鏡やキヤノンの双眼鏡を除くと、ここ十数年で、おおよそ20%程度値上がりしているようです。物価上昇率を考えると仕方がないところでしょうか。

※一部の機材の過去の価格は、税込価格(内税表示価格)のみの表示でしたので、計算した税抜価格(概算値)を記載しています。

※タカハシFSQ-106EDは、2019年4月より523,000円から545,000円に更に値上がりします。

光害カットフィルターと日本の夜空

光害カットフィルターと言えば、以前は、IDAS社製やAstronomik社製ぐらいしかありませんでしたが、最近は、これまで聞いたことのなかったメーカーからも発売されるようになりました。それだけ、星空撮影に興味を持つ方が増えてきたのでしょうね。

現在、横浜で開催されているCP+2019では、ケンコーが光害を軽減する星景・夜景撮影用フィルター「スターリーナイト」を展示しています。4月から発売開始ということで、実際に使用するのが楽しみなフィルターです。

光害カットフィルター

ただ、これまで実際に数社の光害カットフィルターを使用した印象としては、コントラスト向上の効果は確かに感じられるものの、劇的な向上は望めないだろうと思っています。

これは、海外では光害カットフィルターの効果が得やすいナトリウムランプ照明が主流であるのに対し、日本では波長の広い蛍光灯による照明が主流となっているためです。また近年は、より明るいLED照明が街灯に用いられているので、空自体がかなり明るくなってしまっています。

欧米諸国に比べると、日本の住宅地の街灯は非常に明るく、夜でも昼間と大して変わらないように気軽に歩き回ることができます。街灯だけでなく、室内の照明も明るく、間接照明が主流の外国に比べて目が疲れるように感じます。根本的に、日本の都市部は諸外国と比べて、明るすぎるでしょう。

実例として、2017年にアメリカオレゴン州の州都セイラムに出かけ、セイラムから車で30分ほどの場所に滞在しましたが、都市部から40キロほどしか離れていない場所でも、天頂付近の天の川がよく見えました。

オレゴンの空

上は、その時にデジカメで撮影したスナップ写真です。写りは良くありませんが、夏の天の川銀河が写っているのがわかります。

LEDが推奨されるようになって、日本の星空環境の悪化に拍車がかかっているように思います。私がまだ学生の頃は、自宅からでもモノクロフィルムとフィルターを使って星雲などの撮影を楽しむことができましたが、今はもう無理です。最近の自宅周りは明るくなりすぎて、惑星や月の撮影以外は撮影する気になれません。

光害カットフィルターが各社から発売されるのは喜ばしいことですが、「明るいことは良いことだ」という日本の考え方が改まらない限り、日本で星空撮影を楽しむのは今後ますます難しくなると思います。

先日、「本物の星空は、テカポじゃないと見られない」と仰る方にお会いしました。でも、場所が違っても、星空は同じように私たちの頭上に輝いています。人工の光が減れば、日本でも、テカポのような満天の星空を見ることができるはずです。せっかく星空に注目が集まっている今、星空環境を取り戻す運動がもっと高まってほしいと思います。

デジタル対応補正レンズが限定再生産

先日、キヤノンからミラーレス一眼「EOS RP」が発表されました。手に入れやすい16万円前後という実勢価格もあって、カメラファンから注目されています。

キヤノンEOS RPカメラの登場で、新しいEOS Rマウントが一気に普及しそうですね。ニコンZシリーズも、是非、このような機種を出してほしいと思います。

デジタル対応補正レンズ

ところで、今日から、タカハシε-160/130用デジタル対応補正レンズ(42,000円)が発売開始されました。この補正レンズは、2009年と2013年に限定で再生産され、生産終了後は、オークションなどで高値で取引されています。

要望が多かったため、今回の再生産に至ったようで、これが最後の限定再生産とメーカーはアナウンスしています。ε-160やε-130のユーザーは、この最後のチャンスに購入しておくのがいいかもしれませんね。

AXJ赤道儀用のエンコーダー

ビクセンから、AXJ赤道儀用の両軸エンコーダーが発売開始されました。2年前のCP+の会場で注目を集めていたエンコーダーがついに登場です。

エンコーダーを取り付けるメリットは、赤道儀のクランプを緩めて手動で鏡筒の向きを変えた場合でも、望遠鏡の向きを星図上に表示できることです。AXJ赤道儀の場合は、更に、追尾状況も検知し、高精度追尾も実現しています。

AXJ用エンコーダー

エンコーダーの希望小売価格は19万円と高額ですが、機能を考えると魅力的なオプション機器のように思います。

赤道儀用のエンコーダーと言えば、昔、パルステック社のアストロスケールが人気を集めました。私も所有していますが、デジタル表示器が故障してしまいました。

アストロスケール

当時、エンコーダーは、あくまで導入支援装置という位置づけで、赤道儀の追尾精度を向上させる機能はありませんでした。やがて、赤道儀のモーターが高速駆動可能になり、自動導入も可能になると、アストロスケールの人気は下がり、生産中止になりました。

AXJもそうですが、最近の高精度エンコーダーは、追尾精度にも一役買っているのが特徴です。エンコーダー付きの赤道儀としては、「10 Micron」社の製品が有名ですが、この赤道儀も大変な高精度です。

個人的には、オートガイダーがあるので、天体撮影には、モーターのレスポンスの方が重要だと感じていますが、子午線を超えて鏡筒を反転するときには、一旦クランプを緩めても、望遠鏡の向きが表示されるエンコーダーは便利と思います。

いずれにせよ、赤道儀にメーカー純正のエンコーダーが後付できるのは、面白い試みだと思います。AXJ赤道儀の評価いかんによっては、他機種用のエンコーダーも登場するかもしれませんね。

ウィルタネン彗星の観望・撮影機材

これから2019年1月中旬にかけて、ウィルタネン彗星(46P)が見頃になると予想されています。

ウィルタネン彗星が最も明るくなるのは12月中旬で、この頃の予想光度は3等台後半〜4等程度の明るさになると言われています。今年はじめの予想光度は3等級でしたので、ややトーンダウンした感じですが、今年を締めくくる天文イベントになりそうですね。

双眼鏡

ウィルタネン彗星の姿を確認するには、双眼鏡を用意しましょう。彗星の場合、肉眼等級と言っても、淡く広がっているため、実際に肉眼で観察するのはなかなか難しいものです。双眼鏡があれば、発達した尾も確認できるかもしれません。

ウィルタネン彗星を撮影する場合は、明るい光学系が有利です。彗星撮影には、200ミリ前後のカメラレンズが便利ですが、500ミリ前後の望遠鏡も、拡大して撮影できるので、迫力ある写真を撮れるでしょう。

彗星

4等級の彗星というと、2013年冬の「ラブジョイ彗星(C/2013 R1)」を思い出しますが、この彗星を焦点距離500ミリのタカハシε-180EDとフルサイズデジカメで撮影すると、上の写真のように写りました。この写真だけを見ると、大彗星のように見えますね。

ところで、ウィルタネン彗星は、12月16日に、おうし座のすばる(M45)に接近します。接近時の両者の距離は約3.5度なので、視野の広い双眼鏡なら、二つの天体を同視野に捉えることができるでしょう。

すばる

すばるとウィルタネン彗星を撮影する場合は、200ミリより画角の広いレンズがお勧めです。上は、フルサイズデジタル一眼レフと焦点距離200ミリのカメラレンズの画角です(ステラナビゲーター10にて作成)。

また、12月19日〜20日にかけては、カリフォルニア星雲と接近します。すばるとの接近に比べると、やや距離が離れているので、150ミリより短いレンズが必要になりますが、彗星の青緑と星雲の赤のコントラストが映える写真に仕上がりそうです。

ビクセンSXP2赤道儀

先日、協栄産業大阪店で、ビクセンの新しい赤道儀「SXP2赤道儀」の実機に触れる機会がありました。従来のSXP赤道儀は、エンブレムを見なければ、SXD2と見分けにくかったのですが、SXP2は一目で上位機種とわかりました。

SXP2赤道儀は、極軸支持部分がAXJ赤道儀と同じ構造になったため、外観もがっしりした印象です。少し触ってみましたが、確かにSXPに比べて安定感が増したように感じました。

SXP2赤道儀

また、赤経軸のクランプフリー時の動きが、SXPでは非常に軽かったのですが、SXP2では少し粘りのあるような動きに変わっていました。AXD赤道儀と同じような感じですね。ベアリングの変更によるものでしょう。

電源を入れて動作を確認させてもらったところ、ベルトドライブが採用されたことにより、駆動音が静かになったように感じました。と言っても、モーターの駆動音は響きますので、劇的な変化というほどではありませんが、静かな場所ではまた違う印象を受けるかもしれません。

SXP2は、新型カーボン三脚ASG-CB90に載せられていました。軽くて強度も高い三脚という触れ込みですが、脚部は細く、やや不安に感じます。ただ、メーカー曰く、AXJ赤道儀を搭載できる十分な強度があるということですので、実用上は問題ないのでしょう。

前作SXP赤道儀は、SXDからの買い替え需要も大きく、望遠鏡業界では希に見るヒット商品でした。SXPは今でもユーザーの満足度の高い機材ですので、SXP2赤道儀に買い換える人はそれほど多くないのではないでしょうか。価格も高くなりましたので、SXP2が今後どう評価されていくか気になるところです。

シグマ 105mm F1.4 DG HSM レンズ

月曜日の夜に八塔寺に出かけましたが、残念ながら、雲の多い星空。台風が湿気を運んできたのでしょうね。前夜の方が天気が良かったそうで、出かける日を間違えてしまいました。

八塔寺では、シグマの新しい大口径中望遠レンズ「105mm F1.4 DG HSM」を試してみました。幸いレンズが明るく、短時間露光できるので、雲間に何枚か撮影できましたが、本格的な撮影は次回に持ち越しになりました。

Sigma 105mm F1.4 DG HSM

試写の結果では、絞り開放(F1.4)で撮影すると、フルサイズの画角周辺では収差の影響で星像が崩れてしまいますが、 1段絞るとかなり改善され、2段絞ると四隅までシャープな星像が得られました。

シグマ105mm F1.4 DG HSMレンズとフルサイズカメラを使って星野撮影する場合、F2.2〜F2.5で撮影すると、星像と明るさのバランスが良さそうだと感じました。

ニコンZ7

台風25号が接近している影響で、また天気が悪くなってきましたね。次の3連休は月が小さく、天体撮影に好時期なのですが、残念ながら雨のようです。早く秋晴れが来てほしいですね。

先月末、ニコン期待のフルサイズミラーレス「ニコンZ7」が発売開始されました。ネット上には、早速購入された方々のいろいろなレビューが掲載されていますので、参考にしながらZシリーズを購入するかどうか考えているところです。

ニコンZ7

ニコンZ7は、ファインダーが非常に見やすい、画質が詳細という点が評価されているようです。一方、レンズラインナップが少ない、瞳AF機能が搭載されていないという点が不満点として挙げられています。

個人的に試写した印象としては、ニコンのデジタル一眼レフカメラに比べると、コマンドボタンなどが若干使いづらく、ユーザーインターフェースに改善の余地があるのではないかと思いました。また、レンズラインナップが寂しいですね。

一方、画質やファインダーは、皆さんのおっしゃるとおり、素晴らしいです。また、D850から進化した静音撮影機能も便利だと感じました。

カメラの要はレンズですので、1年後、どれだけ魅力的なレンズが出ているかで、購入を決めるのがいいかもしれません。といいつつ、ニコンZ6が発売されたら購入してしまいそうですが(笑)。

キヤノンEOS Rを触ってみて

15時過ぎから、台風24号の影響で風雨が強まってきました。自治体からは、避難準備のお知らせが出ています。台風21号の後片付けは大変でしたので、今回は何事もなく過ぎ去ってほしいところです。

昨日、大阪でキヤノンEOS Rのイベントが開催されました。せっかくなので立ち寄ってみたのですが、台風24号の影響で日曜日の開催が中止になったため、土曜日に来場が集中したのか、会場は非常に混雑していました。ニコンのZ7のイベントといい、フルサイズミラーレスは、注目度が高いですね。

EOS Rボディ

試写コーナーでは、キヤノンEOS RとRF24-105mm F4L IS USMの組み合わせで撮影を楽しむことができました。カメラ本体はコンパクトですが、フルサイズ対応のレンズは、ずっしりしていて大きいです。ただ、ホールドしづらいということは ありませんでした。レンズ先端に設けられたコントロールリングが便利だと感じました。

ボディの操作性については、一眼レフとは操作方法が変わったので、慣れるまで戸惑いそうです。星の場合は関係ありませんが、速写が求められる状況では、サブ電子ダイヤルのある一眼レフの方が便利だと思います。

キヤノンEOS R

会場では、低照度下でのAF機能のデモも行なわれていました。F1.2のレンズでの撮影時、中央測距点を使うと、EV-6の暗さでもAFでピントを合わせることができます。星空の明るさはおおよそEV-4前後と言われていますので、星にもAF機能が使えそうですね。

時間の関係で詳しい点はチェックできませんでしたが、イベント会場の試写では、全体的に良い印象を持ちました。EOS Rボディは、実売価格で23万円前後です。ニコンZ7の40万円前後という価格と比べると、これなら買ってみようかなと思わせるのが、キヤノンの商売の上手いところですね。

ビクセンSXP2赤道儀が登場

9月26日、ビクセンがSXP2赤道儀を発表しました。SXP2は、生産が終了していたSXP赤道儀の後継機ですが、想像していたより早い発表でした。

新しくなったSXP2赤道儀では、上位機種のAXJ赤道儀と同じく、ベルトドライブや、極軸をフォーク式で支える構造を採用しています。従来のSXP赤道儀は、SXD2のベアリング数を多くしただけというイメージがありましたが、SXP2になって、SXシリーズ最高峰モデルという装いになった印象です。

ビクセンSXP2赤道儀

個人的には、SXP2の極軸傾斜角の調整ネジに、これまでのタンジェントスクリューではなく、AXJやAXDと同じ方式が採用されて強度が増した点が嬉しいです。ベルトドライブのレスポンスも、SXPユーザーとしては気になります。

SXP2は、その他、ベアリングの変更などにより、最大搭載重量が16キロから17キロにアップしています。希望小売価格は、52万5000円、SXPと比べると少々高い印象を受けますね。なお、発売開始は2018年10月19日の予定です。

ビクセンSXP2のライバルとなるのは、高橋製作所のEM-200Temma2Zでしょう。価格、強度ともにほぼ同じですので、SXP2がロングセラーのEM-200Temma2にどれだけ食い込んでいけるか、注目したいですね。

星空日誌メニュー

お勧め天文・写真書籍
Ranking Banner


にほんブログ村 写真ブログ 天体写真へ
最新の記事
Calendar
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2019 >>
プロフィール
archives
Links
others
mobile
qrcode